2022年も残すところあと僅かとなり、業務の稼働日数を気にしながらの日々が続いております。弊社は建設に特化したマーケティング会社として設計事務所に頻繁に訪問しておりますが、そこでのやり取りをお伝えしたいと思います。
SDGsに資する建材が欲しいという意識の拡大
ここ最近になり、環境負荷の低い建材の問い合わせが増えています。以前より自然由来の素材で出来た建材(加工木材、珪素から出来るガラス系建材等)は環境負荷の低さが分かりやすい事もあり、早い段階から注目されてきました。しかし、LCA(ライフサイクル・アセスメント)やリサイクルの種類(マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクル)等の環境負荷に対する認識が高まった現状では、プラスチックであっても必ずしも環境負荷に繋がるものとは言えなくなってきた気がします。不法に廃棄すれば自然分解する事がないプラスチックは海洋汚染の元凶になりますが、きちんとリサイクルして活用すれば、その軽量さや強度、電気特性等から他の素材と代替出来ない素材で、建材としても環境負荷もさほど高くもなく、優れた素材であると仰る設計士も多くいらっしゃいます。
ですので、環境負荷の低い建材を探している設計士にも、環境問題に配慮した樹脂製の建材を提案する事も増えてきています。
CO2削減効果の高い建築
設計士に「環境負荷と建築物を考える時に重要な要素とは何でしょうか?」と問うと、実に多様な返答があります。その中で比較的に「断熱性」を挙げられる設計士が多いと感じます。断熱性や気密性の高い建築物にすれば、住宅であれ非住宅であれ、冷暖房用空調機器の稼働率が減少します。究極的に外気温の影響をほぼ受けなければ、エネルギー消費の極めて少ない建築物が出来るという事だそうです。具体的には1kW程度のエアコン1台で家全体の熱環境を制御出来る、ほぼ無暖房住宅等の実現を挙げる設計士も居られ、アトリエ系の設計事務所ではZEHだけでなくHEAT20 G2、G3への取り組みも盛んです。HEAT20のG1は?と伺うと、HEAT20のG1はZEHとほぼ同等なので特に意識していない、との事でした。いぜれにせよ、高気密・高断熱の建築にする事で、低炭素社会に貢献出来るという認識は高いようです。
積極的に空調制御をしないのは自宅だけ
基本的には弊社は新しく開発された建材のテストマーケティングで設計事務所へ訪問するのですが、設計士と会話していく中で話が逸れる事も多くあります。その事自体は決して悪い事ではなく、設計士が本質的に考えている事柄を知り得る貴重な機会でもあります。ある設計士から「生活環境の全体で空調制御を怠るのは自宅だけ」と伺った事があります。その方曰く、自宅から出て公共の場に出れば、ほぼ全てにおいて空調制御がなされている。自動車でも電車でも、会社や施設、店舗といったあらゆる建築内では空調制御が行われていて、快適に生活する事が当たり前になっている。でも、光熱費負担が自身になるとエアコンや空調機を使いたがらない。その意識を変えるか、換気を除く空調機器の稼働が少ない住宅を創らなければならない、という事です。確かに自宅こそがプライベートな場所であり、リラックスしながら快適に過ごす必要性が高い空間だとすれば、空調制御に頼らず、ランニングコストの意識を感じる事無く、自由に寛ぎたいものです。
施主にもSDGsの意識が浸透
設計士が言うには、施主のSDGsに対する理解度や認識が浸透してきている、以前はコスト低廉化一辺倒だった施主も、時流としてのカーボンニュートラルやゼロ・エミッションに対する取り組み意識も高くなってきていて、そのニーズに対応する為に環境負荷の低い建材を探し回っている。そんな設計士へ少しでもお役に立てればと考えています。
【担当:相馬義輝】