調査物語

競技多様化に応える施設が続々

スポーツ観戦の人気拡大を追い風に、全国でスポーツ観戦施設が進行している。特に、東京都内の神宮外苑地区では「世界に誇るスポーツクラスター」を目指すプロジェクトが進行している。そのプロジェクトにより2029年度以降に完成するのが新秩父宮ラグビー場である。
日本初の屋内型ラグビー施設となり、快適で魅力的な観戦の場を提供できる。新秩父宮ラグビー場の整備を手掛ける事業者はそう期待を寄せる。複数人で観戦できるソファー席など多様な座席を備え、ラグビーファンの新規獲得を狙う。

他にも様々な競技が観戦可能な新施設が続々と誕生する。大相撲名古屋場所の会場に使う「愛知県新体育館」もその一つ。2026年開催の第20回アジア競技大会では、柔道やレスリングの舞台としても利用する。
施設運営にNTTドコモも加わり、最先端のスマートアリーナを目指す。
東京・築地には、およそ5万人を収容できる超大型マルチスタジアムが2030年代に登場する。野球やサッカーに加え、アイスホッケーなどにも対応する屋内施設である。約9000億円を投じるビッグプロジェクトの一環で、周辺一帯も併せて整備する。

スポーツのスタジアム観戦市場は新型コロナウイルス禍を経て急回復し、引き続き伸びそうである。背景には観戦対象スポーツの拡大があり、観戦環境の充実が観客リピートにも繋がっている。
単に試合を見る環境を用意するだけでなく、質の高い飲食サービスや宿泊環境を提供するスポーツ施設が増えている。リアル観戦の集客力を高める施設整備が今後もトレンドになりそうだ。

<新秩父宮ラグビー場>日本初の屋内型ラグビー施設(竣工時期2029年以降)
ラグビー大会開催時には、チーム用スタンド席などを含め約1万5000人を収容する屋根付きのスタジアム。高さ20m超から試合状況を見渡せる「スカイラウンジ」などバリエーション豊富な観戦環境を整える。開発は神宮外苑地区まちづくりの一環として進め、ラグビーの魅力や歴史を伝えるミュージアムも併設する予定。

<愛知県新体育館>大相撲名古屋場所の新会場(竣工時期2025年3月)
2026年に開催する第20回アジア競技大会で柔道やレスリングの競技会場。その他、相撲やフィギュアスケートなどの利用も想定している。外観デザインは隈研吾建築都市設計事務所が担当。隣接する名城公園の自然になじむ、樹形を模した外観が特徴。総事業費は約400億円。

<築地地区まちづくり事業>市場跡にマルチスタジアム(竣工時期2030年代以降)
三井不動産を代表企業とする「ONE PARK×ONE TOWN」が事業主体。計11社の企業連合で、鹿島や清水建設、大成建設、竹中工務店も名を連ねる。約19万㎡の広大な敷地の中心に、約5万人を収容する屋内型の多機能スポーツ施設となる。総事業費は約9000億円。
(日経アーキテクチュア、KJ-NET参考)

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