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電動ファン付きウエアの市場

2024年は7月から記録的な猛暑が続きましたが、徐々に秋の気配が感じられるようになってきました。ですが、気象庁の予測では9月から11月まで平年より気温の高い日が続くようです。昨今はゲリラ雷雨も多く発生しており、地球温暖化に起因する天候変動とも言われています。
さて、今回は「電動ファン付きウエア」について考察してみたいと思います。猛暑で過酷な環境となる建設現場で働く作業員の方々が着用しているのを多く見掛けるようになり、以前よりも普及が進んでいると見られる「電動ファン付きウエア」の市場を俯瞰します。

電動ファン付きウエアの市場規模推移

2023年における電動ファン付きウエアの市場規模は、メーカー出荷金額ベースで170億円と見られています(繊維ニュース調べ)。2021年4月に特許庁が「ニーズ即応型技術動向調査」としてウェアラブル冷暖房用品を取り纏めていますが、2016年には10億円にも満たなかった電動ファン付きウエア市場が急拡大している様子が見て取れ、それだけ潜在的なニーズの高い商品であるという事が言えます。2020年には対前年比150%の150億円規模、数量ベースで400万点まで拡大しましたが、2021年には140億円規模(対前年比93.3%)まで縮小しました。これは、繊維ニュースへヒアリングした所、コロナ禍の影響が大きくあったとの事でした。確かに全国的な外出規制や建設業界でも工事実施の抑制もあり、市場推移が鈍化した要因として考えられます。

ただし、市場規模推移として見ると、2019年から2020年にかけての市場伸長率(150%)は驚異的な伸びであり、一般的な商品で市場伸長率130%を超えると異常値とも言えるレベルと考えると、需要性の継続的な高さが伺えます。2022年からは再び市場は盛り上がりを見せ、歴史的に驚異的な酷暑となった今年(2024年)は200億円程度まで伸張する可能性があります。

モバイルバッテリーの容量拡大や省電力ファンといった構成デバイスの改良も市場拡大に貢献

これまでウェアラブル商品については、構成部材であるバッテリーの仕様(容量・サイズ・重量・蓄電)の課題、その持続時間等も含めて課題が多くありました。それらがウェアラブル商品のコストにも影響し、なかなか市場の普及/拡大に至らなかった背景も徐々に改善され、2018年以降の市場拡大に繋がっています。モバイルバッテリーの技術的課題やコスト廉価が今後も更に緩和されていく事が、継続的な市場拡大に寄与するとも考えられます。

建設業、倉庫業、輸送業等での普及拡大が市場伸長を支える

アウトドアニーズやカジュアル用途での市場伸長も加わり、市場が拡大している電動ファン付きウエアですが、主には屋外で作業を行う就労者向けの需要が底堅い市場構成となっています。建設や倉庫、輸送の仕事に携わる就労者は照り付ける日差しと戦いながら作業をこなさねばならず、過酷な労働環境を少しでも改善させる為に「働き方改革」の一環としても電動ファン付きウエアを導入する事業者も拡大しています。ただでさえ人手不足が叫ばれる業界では、如何に就労者の雇用維持を実現させる為に色々な工夫や改善が必要なのは言うまでもありません。

(担当:相馬 義輝)

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