新年あけましておめでとうございます。昨年は能登地震から始まり自民党の裏金問題で終った騒がしい一年でしたが、大谷翔平の活躍、パリオリンピックの開催、日本被団協のノーベル平和賞受賞など明るい年でもありました。
今年は巳年です。蛇は脱皮しながら成長すると言われていますが、建設業界はどうでしょうか。
まず挙げられるのが2025年問題。
2025年に75歳以上の後期高齢者の人口が増え、極端な少子・超高齢化になることを指します。この問題の要因は、1947年~1949年に生まれた「団塊の世代」が、2025年には全て後期高齢者に達することです。
厚生労働省によれば、2025年の後期高齢者の人口は2,180万人で全体の18%を占め、前期高齢者(65~74歳)人口は1,497万人で全体の12%に達すると推測されています。前期と後期を併せた高齢者人口は約30%に達するため、社会全体の負担増が懸念されます。
2025年問題に直面すれば、建設業に対する影響は避けられません。
なぜなら、超高齢化社会が加速することで、建設業の人手不足に拍車がかかる可能性があるためです。
国土交通省によると、建設業就業者は1997年に685万人であったのに対し、2020年は492万人で、約193万人も減っています。また、2020年における建設業就業者は、55歳以上が約36%、29歳以下が約12%という割合です。つまり建設業就業者においても高齢化が進んでいるなか、現在のベテラン層が退職することで、さらに人手不足が深刻化する可能性があるのです。
次に、人手不足が起こる原因についてみると。
長時間労働が常態化している。厚生労働省によると、2024年6月分の総実労働時間は、調査産業計が140.1時間であるのに対して、建設業は約25時間多い165.8時間となっています。また出勤日数の調査をみると、調査産業計の平均が18.1日となっている一方、建設業の平均は20.4日であり、ひと月あたりの休日がすくないという課題もあります。
若者の建設業への興味が薄れている。
建設業に興味・関心を抱く若者が減少していることも、人手不足に拍車をかけている原因の一つです。国土交通省によると、全産業における29歳以下の人材の割合が16.4%であるのに対し、建設業における29歳以下の人材の割合は11.7%にとどまっています。
一方、建設業における55歳以上の人材割合は、全産業の31.5%より4.4ポイント多い35.9%に上り、高齢化が進行しています。
労働環境の改善の遅れ。
建設業では労働環境の改善が遅れている企業が少なくありません。具体的には3K(きつい・汚い・危険)に代表されるような過酷な労働環境や長時間労働を強いられる環境があげられます。
これに対して近年、建設業向けのERPシステム導入などの取り組みが注目を集めています。建設業向けERPシステムは建設業に特化した基幹業務システムで、工事プロジェクトのライフサイクル全体を一元化することで、バックオフィスと営業・工事などの現場を連携させ、業務の効率化や最適化につなげています。
このように建設業では新たなシステムを導入するなど、様々な取り組みで労働環境の改善に努めています。