調査物語

出生数が減少しているのは住宅事情も影響か

去年1年間に生まれた子どもの数は、速報値で72万人余りと前年より3万7000人余り減少した。
統計を取り始めて以降、最も少なくなったことが厚生労働省のまとめで分かりました。
詳しく見てみると、外国人なども含め去年1年間に生まれた子供の数は合計で72万988人となり、前年に比べて率にして約5%減少の3万7643人となっています。

出生率が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、最も少なくなりました。出生数はすべての都道府県で減少しています。厚生労働省は「出生数が過去最少となったのは、若い世代の減少や晩婚化、それにコロナ禍で一時、結婚の数が減ったことなどが影響したと考えられます。若い世代の所得の向上や、子育てと仕事を両立しやすい環境作りなどに取り組んで行きたい。」としています。

毎年、出生数が過去最低となり、急速な少子化に歯止めが掛からない日本。経済的不安や若い世代の意識の変化など複合的な理由に加えて、子育て世帯の住宅の狭さも大きな要因の1つと指摘されています。

「国立社会保障・人口問題研究所」が2021年に行った出生動向基本調査では、妻の年齢が35歳未満の若い世代で理想の子どもの数を持たない人にその理由を複数回答で尋ねたところ、以下のような回答結果となりました。

▽「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も多く77.8%
▽「これ以上、育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから」が23.1%
▽「家が狭いから」が21.4%

と「家が狭いから」が3番目に多かった事が分かります。およそ5人に1人が要因に挙げていました。
2015年に行った調査では家が狭いからと回答した人は18%で、6年間で3.4ポイント増加したことになります。

実際に、「住まい」に目を向けると、都市部を中心に住宅費の高騰や住宅面積の縮小が進んでいます。
「不動産経済研究所」によると、首都圏の新築マンションの平均価格は、資材費や人件費の高騰などで増加傾向にあり、4年前の2021年には6260万円とバブル期だった1990年の6123万円を上回り、更に去年は7820万円まで上がっています。
一方で、1戸あたりの専有面積は縮小していて、2000年には74.76平方メートルでしたが、去年は66.42平方メートルと20年余りで11%減少しています。

また、家の広さと子どもの人数を分析した調査をみてみます。
財務総合政策研究所が2021年に公表した調査では、住宅の面積や通勤時間と子どもの人数などのデータを分析した結果、第2子を望む夫婦では、住居の延べ面積が1平方メートル大きくなれば第2子が生まれる確率が3%高くなるとしています。一方で、東京23区と政令都市の場合、夫の通期時間が10分増えると第2子が生まれる確率が4%減るとしています。

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